村田製作所は2019年1月16日から18日にかけて東京ビッグサイトにて開催されている、自動運転、クルマの電子化・電動化、コネクティッド・カー、軽量化など、自動車業界における先端テーマの最新技術が一堂に介する展示会「オートモーティブ ワールド 2019」において、自動車に向けた各種コンデンサやキャパシタの紹介のほか、圧電フィルム技術を活用した次世代HMIデモや、圧電セラミックタイプのたわみセンサを用いたハンドル把持状態検知ソリューションなどのデモを行っている。

次世代HMIは、自動運転時代を見据え、従来の車室内 に配置されたメカニカルなゴテゴテしたスイッチを圧電フィルムベースのセンサに変更することで、シームレス化してスマートな内装を実現させることを目指した技術デモ。曲面であっても、限定された場所だけに反応する用途であっても、フィルムなので、フレキシブルに適応できるほか、手袋などをはめていても反応できるのが特徴。デモ自体は、オーディオモードと暖房換気空調(HVAC)システムの2モードをセンサで切り替え、それぞれを操作するといったものとなっており、HVACモードでは、実施に風の強弱などを変更して、風量の変化などを体感することもできる。

  • 次世代HMIのデモの様子
  • 次世代HMIのデモの様子
  • 次世代HMIのデモの様子。「MODE」に触れると、オーディオモードとHVACモードを切り替えることができる

また、たわみセンサのデモだが、同センサは、筋肉の振動まで検知できる薄型かつ高速応答高感度の圧電セラミックタイプのもので、ハンドルとカバーの間に貼り付けることで、脳は無意識のうちに指令を出している手の細かな振動をを検知。ハンドルを握っている状態なのか、そうでない状態なのかを判別するというものとなっている。加速度センサなどを用いた似たようなソリューションと違うところは、実際にハンドルを握っている状態と、握っていなくても振動がある状態を区別できるという点。現在、民生向けには同様の技術を展開しているが、耐環境性など、自動車向けとして評価する必要があるため、現時点ではまだ開発中のものだという。

  • たわみセンサのデモ
  • たわみセンサのデモ
  • たわみセンサのデモの様子。振幅の大きな波形は握った際の振動を含めて検知したもの。その後の波形が握っている際の手の筋肉の振動を検知したものとなる

加速度センサで傾斜を検知

このほか、同社ブースでは、加速度センサを用いた傾斜検知のデモも行われている。

これは、ラジコンに加速度センサを搭載し、山を模した坂道を登っていくというもので、センサがオンの時には傾斜を検知してモーターの出力(回転数)を高めて登っていくが、センサがオフのときは、出力が足りずに登りきれない、というもの。

  • 傾斜検知デモ

    加速度センサによる傾斜検知デモの様子

デモでは、ラジコンカーに搭載したCCDカメラの映像がモニターに表示され、さらにそこに車体の傾きを示す傾斜計やアクセルの状況、センサのオン/オフを示すランプなどが表示され、どんな状態でラジコンカーが走行しているかがわかるようになっている。

  • 加速度センサ

    ラジコンカーの上に載せられた加速度センサ

  • 加速度センサ

    加速度センサ単体。静電容量式3D-MEMS技術を採用することで、高精度かつ高信頼性を実現したという

村田製作所の加速度センサを用いた傾斜検知デモ

このほか、同社ブースでは、2017年にソニーから買収した電池事業の紹介も行っている。一般的にボタン電池とも呼ばれるマイクロ電池シリーズのほか、円筒形のリチウムイオン電池の紹介も行っているが、こちらについては顧客の要望に応じてカスタマイズして提供するビジネスということで、技術の紹介という形での展示となっているが、すでに電動二輪車などで活用されるなど、実績はあるとのことで、今後、さらなる用途の開拓などを図っていきたいしていた。

  • 円筒形リチウムイオン電池

    村田製作所が手がける円筒形リチウムイオン電池