Pixel 3の概要と価格

米Googleは10月9日 (現地時間)、米ニューヨーク市でハードウェア製品の発表イベント「Made by Google 2018」を開催、Androidスマートフォンの新製品「Pixel 3」シリーズを発表した。前世代からデザインの大きな変更はないが、AIとGoogleアシスタントを活用したGoogleならではの利用体験が向上している。ディスプレイサイズが異なる2つのモデルが用意されており、5.5インチ (FHD+、443ppi)の「Pixel 3」が799ドルから、6.3インチ (QHD+、523ppi)の「Pixel 3 XL」が899ドルから。10月18日に米国で発売、11月1日に日本を含む12か国でも販売を開始する。

  • 「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」

    「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」

スマートフォンの新製品発表というとハードウェアのスペックが大きな注目点になるが、PixelはGoogleの「AI+ソフトウェア+ハードウェア」で最高の体験を提供できるように同社がデザインしたスマートフォンであるのを最大の特徴としている。そのためGoogleは、イベントでの発表のほとんどの時間をAIとGoogleアシスタントの活用に費やした。

Pixel 3のカメラ機能

背面カメラ - AIを駆使した独自機能に注目

特に強くアピールしていたのがスマートなカメラ機能だ。近年のスマートフォンの高機能機種はほとんどがメインカメラにデュアルカメラを搭載するが、Pixel 3の背面カメラは12.2メガピクセル、デュアルピクセル・センサーを搭載するシングルレンズ。カメラ自体は比較的シンプルだが、以下のようなAIを活用した「コンピュテーショナル・フォトグラフィ」が充実している。

  • トップショット:シャッターを押した瞬間に、被写体が動いたり、目をつぶってしまっても、前後から最もよく写っている1枚を勧める。
  • 超解像ズーム:ズームインしてもぼやけたり、ざらつかず、写真をクリアに保つ。
  • Night Sight:キャンプファイヤやわずかな照明だけの暗いバーの店内など、真っ暗と呼べるような環境でも、フラッシュを使わずに自然な写真に仕上げる。
  • フォトブース・モード:シャッターボタンに手を伸ばすことなく、笑顔を作ったり、面白いポーズをとると自動的に撮影してくれる自撮りモード。
  • ポートレート・モード:ポートレートで背景のボケやフォーカスを調整したり、背景のみモノクロにするなど幅広い加工が可能。
  • モーションAF (ビデオ):子供やペットなど、素早く動く被写体でもしっかりと追従してフォーカスを合わせる。歩きながらのセルフィビデオ撮影でも、顔を追従し、安定した映像に仕上げる。
  • トップショット

    タイミングよくシャッターをタップしたつもりでも失敗するのはよくある

  • トップショット

    前後から最もうまく撮れている1枚を勧めてくれる

  • Night Shotの効果

    真っ暗なシーンの撮影を、iPhone XS (左)とNight Shotを備えたPixel 3 (右)で比較

前面カメラ - 広角レンズと標準レンズのデュアル仕様

スマートフォンの撮影では、前面カメラを使った撮影でうまくフレームに被写体を収められないことが多い。Pixel 3は前面カメラが、視野97度 (f2.2)の広角レンズと視野75度 (f1.8)の標準レンズのデュアルカメラになっており、例えば複数人による自撮りでも最大184%の広角で全員をフレームに収められる (グループセルフィ)。

  • グループセルフィ

    セルフィで全員が入らない、写したい背景が全てフレームに収まらないという時は…

  • グループセルフィ

    前面デュアルカメラで広角にズームアウトが可能、自撮り棒いらず

なお、Pixel 3ユーザーは、Pixel 3で撮影したオリジナル解像度の写真とビデオを、容量の制限なく「Google Photos」で管理できる。

AIが名刺情報分析、Gmail文章自動作成

他のAI機能としては、URLやQRコード、名刺などにGoogleレンズでカメラを向けるだけで、写っている対象をGoogleが分析し、Webページのアクセスや新しいコンタクトの作成といった作業を自動化できる。また、メール作成時に文章の一部を入力すると、その後に続く文章を自動作成・提案するGmailのスマートコンポーズ (Smart Compose)をモバイルで利用できるほか、会話に応じてGIFやステッカーを提案するGboardが組み込まれている (どちらも英語のみの機能)。

  • Googleレンズでプロダクト検索

    Googleレンズを使って、気になったグッズにカメラを向けてプロダクト検索

米国において英語のみの提供になるが、不審と思われる電話がかかってきた際に「Screen call」をタップすると、スクリーニングサービスであるというメッセージが返される。相手の反応をすぐにトランスクリプトで確認でき、重要な電話なら通話に切り替え、迷惑電話ならスパムとしてブロックすることが可能。

今年春に行われたGoogle I/O 2018でGoogleアシスタントがユーザーに代わって、レストランなどに電話をかけて予約を取る「Duplex」テクノロジが話題になったが、ニューヨークやサンフランシスコなど米国の一部の都市でDuplexによる予約などのロールアウトを年内に開始する。

Pixel 3のスペック

本体サイズは、5.5インチのPixel 3が145.6×68.2×7.9ミリで148グラム、6.3インチのPixel 3 XLが158.0×76.7×7.9ミリで184グラム。バッテリーはPixel 3が2915 mAh、Pixel 3 XLが3430 mAh。本体を握って操作する「Active Edge」をサポート、簡単にGoogleアシスタントを呼び出せる。また、Titan Mというセキュリティチップを搭載、ハードウェアベースのソリューションでOSやデータの安全を守る。共通の主なスペックは以下の通り。

  • OS: Android 9 Pie
  • ディスプレイ: フレキシブルOLED
  • プロセッサ: Qualcomm Snapdragon 845
  • RAM: 4GB LPDDR4X
  • ストレージ: 64GB/ 128GB
  • ワイヤレス: Wi-Fi (802.11 a/b/g/n/ac)、Bluetooth 5.0+LE、NFC/ Felica
  • その他: ステレオ スピーカー、マイク×3、USB Type-C (3.1 Gen 1)ポート、シングルナノSIM
  • カラー: クリアリーホワイト、ジャストブラック、ノットピンク

クイックスイッチアダプター、USB-Cケーブルのほか、Pixel 2シリーズでは省かれた「Pixel USB-C イヤフォン」が付属する。

  • 本体カラーは3色

    左からノットピンク、クリアリーホワイト、ジャストブラック

ワイヤレス充電にも対応

Qi ワイヤレス充電に対応し、Googleは「Pixel Stand」というワイヤレス充電スタンドも発表した。スタンドに立てた状態で、Googleアシスタントに話しかけて予定や天気を聞いたり、音楽の再生を頼むなど、ディスプレイ付きのスマートアシスタントデバイスのように使用できる。

  • 「Pixel Stand」

    「Pixel Stand」