シャープは10月4日にプラズマクラスターエアコン「Xシリーズ」の新モデル発表しました。適応畳数別に9モデルをラインナップ。価格はオープンで、推定市場価格は23万円前後(税別)から37万円前後(税別)。10月25日に発売します。

Xシリーズの特徴は同社のAIoTサービス「COCORO AIR」に対応していること。そして「プラズマクラスターNEXT」の搭載によって、さらに強力になった消臭機能です。

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    プラズマクラスターエアコンの最新フラッグシップモデル「Xシリーズ」

AIoTで省エネ

Xシリーズ最大の特徴は、今話題の「AI」と「IoT」を組み合わせたAIoTサービス「COCORO AIR」に対応していることでしょう。エアコンをインターネットに繋げることで、クラウド上のAIが部屋の室温変化やエアコンの操作履歴、部屋の暖まりやすさ、時間による温度変化、住んでいる地域の特性といったさまざまな情報を学習します。また、専用アプリが「今夜は熱帯夜になりそう」といった情報や、省エネ運転のアドバイスなど、生活をアシストするような「おしゃべり」をしてくれるのも特徴です。

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    従来、無線LANは別売りの製品が多かったのですが、シャープは昨年(2017年)モデルから、全モデルに無線LANを内蔵。今年(2018年)は多くの大手メーカーが、無線LAN内蔵型エアコンを発表しています

Xシリーズでは、COCORO AIRがさらに賢くなりました。新機能の目玉は、COCORO AIRの学習機能によって省エネができること。一般的に「最新のエアコンほど省エネ」と思われがちですが、じつはここ数年のエアコンにおいて、省エネ性能はそれほど大きく変わっていません。1998年に導入されたトップランナー制度(省エネを目指すための国の制度)により、エアコンは1998年から2003年までの5年間で約17%の省エネに成功しています。ところが、2011年から2016年の5年間は約3%にとどまっているのです。これは、ハードウェアによる省エネ性能の向上が難しくなってきたということでしょう。

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    1998年から2016年までのエアコンの消費電力量の推移。徐々に「省エネ化」の向上率がゆるやかになっているのがわかります

そこでCOCORO AIRは、部屋の冷えやすさや暖まりやすさといった「部屋の性能」を学習。さらに、毎日の操作履歴からユーザーの生活パターンも把握します。これらのデータにより、効率的な運転制御を行うことでユーザーの「快適さ」をキープしたまま省エネを実現するのです。今回、省エネを実現するモードとして、新たに「省エネ立ち上げ制御」と「省エネ温度シフト制御」が追加されました。

「学習」が今後の省エネのカギ?

省エネ立ち上げ制御とは、その名の通り「立ち上げ運転」を省エネで行う機能です。たとえば冬にエアコンを起動すると、部屋が冷えているためにエアコンは「急いで部屋を暖めなくては!」と、最初にフルパワーで暖房運転をします。ところが、このような急激なエアコンの立ち上がりは電気を大きく消費するもと。「エアコンは起動時が最も電気代がかかる」「少しの外出ならエアコンはつけっぱなしにしたほうが省エネ」といわれています。

たとえばCOCORO AIRはユーザーの生活パターンを学習し、「家族がいつ学校や仕事から帰宅するか」などを把握。ユーザーが帰ってくる時間に最適な室温となるようエアコンを運転します。しかし誰もいない部屋を急いで冷やしたり、暖めたりする必要はないですよね。省エネ立ち上げ制御をすることで、誰もいない部屋はゆっくりと冷やしたり暖めたりし、ユーザーが帰ってくるころにちょうどよい室温になるよう運転できるのです。

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    帰宅途中でスマートフォンから遠隔操作でエアコンを運転させた場合、COCORO AIRがあってもなくても、帰宅した部屋は設定温度26度で快適。ですが、エアコンの消費電力はCOCORO AIRありだと186Wh、なしだと228Whと、かなり違うことがわかります

ちなみにエアコンは設置する部屋によって、広さや断熱性能、吹き抜けがあるかなどの構造が異なります。このため5分で暖まる部屋があれば、同じ運転でも暖まるまで15分かかる部屋もあります。COCORO AIRはこのような「部屋の性能(暖まりやすさや冷えやすさ)」も学習するため、帰宅時間にあわせて無駄のない運転ができるそうです。

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    ちなみに、家にづ近づくとスマホアプリに「お知らせ」する機能もあります。自宅に帰ってから「帰宅途中でエアコンいれておけばよかった!」と後悔しないですみそう。お知らせ範囲は200mから10kmまでの6段階で選択可能。外出時や帰宅時など、お知らせタイミングも選べます

省エネ温度シフト制御は、家族が通勤や通学で外出する時間を学習し、外出時間前になると運転をゆるめるといった機能。運転をゆるめても部屋の温度がすぐに変化するわけではないので、外出するまで快適さをキープしたまま省エネを実現できるといいます。

ちなみに、自動制御が実行されるとスマホアプリに「運転をゆるめたことによる室温変化についてどう思うか」という質問が届きます。自動制御がユーザーの好みに合っていたかを「はい/いいえ」で答えていき、次第にエアコンがユーザーの好みに合った運転を学んでゆく仕組みです。シャープによると、COCORO AIRの制御により、従来モデルより約17%の省エネ向上が見込めるといいます。

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    外出前に運転を「ゆるめる」のが省エネ温度シフト制御。運転をゆるめたことで「暑い」「寒い」と不快に感じた場合は、その結果を学習して次回に反映させます

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    COCORO AIRの学習機能ありのエアコンと、COCORO AIR不使用のエアコンで、一般的な1日の消費電力量を比較したグラフ。COCORO AIRは総運転時間が長いにもかかわらず、約17%も消費電力が少ないのがわかります

高齢者がいる家には嬉しい「お知らせ」機能

COCORO AIRのスマホアプリも進化しました。さまざまな機能が追加されていますが、個人的に便利だと感じたのが「みまもり機能」。たとえば、夏に「25度~29度」といった温度を設定すると、室温が設定範囲から外れたタイミングでスマホに「リビングの室温が30度以上になっています」などと通知が送られてきます。

エアコンが苦手で熱中症になりやすい高齢者や、ペットがいる家庭などではありがたい機能でしょう。また、過去の運転履歴や部屋の温度、湿度の変化をチェックできるようになったほか、電気代のお知らせ機能なども追加されています。

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    エアコンがある部屋の温度が設定した範囲を外れると、自動的にスマートフォンに通知する機能も。暑さや寒さを感じにくい高齢者がいる家庭では嬉しい機能です

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    エアコンフロントの人感センサーに反応があったらスマホアプリに通知させることも可能。子供の帰宅を知りたいといった家庭向きの機能でしょう

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    COCORO AIRでは空気情報の履歴をチェックできる新機能も追加されました。気になる毎日の電気代や、ひと月の電気代も調べられます