米Appleは9月12日(現地時間)、新製品発表のスペシャルイベントを開催し、この中でiPhoneの新型「iPhone XR」を発表した。6色のカラーバリエーションを採用し、10月24日に発売される。

  • iPhone XR

液晶ディスプレイを採用した普及モデル

iPhone XRは、高精細な有機ELディスプレイを搭載するiPhone XS/XS Maxの2機種と異なり、液晶ディスプレイを採用し、カメラもデュアルカメラではなくシングルカメラを採用した、いわば普及モデルといった位置付けだ。昨年発売されたiPhone 8に相当することになるが、ディスプレイサイズは6.1インチの1種類のみとなる。

本体はガラスとアルミニウムを組み合わせた高級感あふれるデザインで、ホワイト、ブラック、ブルー、イエロー、コーラル(ピンク)、(PRODUCT)REDの6色の仕上げ。サイズは高さ159.9mm×幅75.7mm×厚さ8.3mm、重さは194gと、iPhone 8 Plusより一回り小さく軽いサイズに収まっている。本体が4色以上のカラーバリエーションを採用するのはiPhone 5c以来。

iPhone XRのディスプレイは「Liquid Retinaディスプレイ」と名付けられ、iPhone 8と同等の広色域(P3)を実現。液晶パネルながら、新設計のバックライトを採用することで超狭額なベゼルレスデザインを可能とした。このため、前面はノッチ部以外ディスプレイが広がっており、指紋認証のTouch IDに対応したホームボタンは搭載されていない。ディスプレイのサイズはiPhone 8 Plus(5.5インチ)よりも一回り大きな対角6.1インチだが、ピクセル密度はiPhone 8と同じ326ppiで、解像度は1,792×828ピクセルと、iPhone 8 Plus(1,920×1,080ピクセル)をやや下回る。画面比はおよそ縦19.5:横9と、iPhone Xに続いて流行の縦長スマホ(アスペクト比がフルHDの16:9を超えて長いもの)を継承している。なおiPhone XRは、画面を押す力でメニューなどが表示できる「3D Touch」に対応していない。3D Touchは圧力を感知するセンサー層をディスプレイに組み込む必要があり、XRではベゼルレスデザインとセンサーの両立が難しかったものと思われる。

心臓部となるSoCには最新の「A12 Bionic」を採用。フロントカメラには顔認証のFace IDに対応したTrueDepthカメラの採用や、ワイヤレス充電、よりワイドになったステレオスピーカーの搭載など、装備面ではほぼiPhone XSを踏襲する。ただし背面のカメラはiPhone 8とほぼ同じ構成の12メガピクセル・単焦点レンズ(デジタルズーム5倍)となっている。

フラッシュメモリの容量は64GB、128GB、256GBの3種類。価格はApple直販のSIMフリー端末の場合、8万4,800円(64GB)、9万800円(128GB)、10万1,800円(256GB)。各キャリアからの販売価格は現時点では未定。10月19日午後4時1分より予約を開始し、発売は10月24日。同じ2モデル・多色展開を行ったiPhone 5s/5cのときはスペック差の大きさからiPhone 5sに人気が集まったが、ほぼ同等スペックの今回、価格面で優位なXRがどこまで人気を集めるか、またソリッドなカラーバリエーションを市場がどの程度受け入れ、どの色が人気となるかが注目される。