Microsoftが2018年5月7日(以下すべて現地時間)から3日間、米国ワシントン州シアトルで開催する開発者向けカンファレンス「Build 2018」。初日の基調講演で発表された新テクノロジーや製品に関する最新情報から、キーポイントを取り上げて紹介しよう。

  • 10分でだいたい分かるMicrosoft Build 2018(1日目)まとめ

昨年(2017年)のBuildは、クラウド&AI(人工知能)が主たるテーマだったが、今年はAI&Microsoft Azureといえる内容だった。Microsoft CEOのSatya Nadella氏がビジョンを語り、Microsoft EVP Cloud + AI GroupのScott Guthrie氏がMicrosoft Azureにおける実装を紹介。そしてPM(プロダクトマネージャー)などがデモンストレーションで実装方法を紹介するという流れである。

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    Microsoft CEO, Satya Nadella氏(以下の画像はすべてライブキャストから抜粋)

Nadella氏は、産業革命における急激な社会変化を引用しつつ、その流れにいる自社は「機会と責任」を持たなければならないと強調する。このあたりは別の機会に紹介するとして、ここでは新たな発表に注目したい。今回の注目は「Azure IoT Edge」のランタイムをOSS(オープンソースソフトウェア)化し、Qualcommと共同でVision AI開発キットを作成。さらにDJIと共同で民間用ドローンソリューション向けWindows SDKを発表したことだ。

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    Qualcommと共同開発したVision AI開発キット。Azure IoT EdgeとAzure ML(Machine Learning)を使用し、カメラを含むIoTデバイスを開発するために必要な主要ハードウェアとソフトウェアを提供する

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    DJI製ドローンに搭載したVision AI開発キットとUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリで、パイプの状態をストリーミング配信し、故障箇所を自動検知するデモンストレーション

KinectがMicrosoft Azureで復活

ほかの大手IT企業と同じく、MicrosoftはAI分野における突破口を重ねており、AIの日用品化に努めてきた。その一環として今回のカンファレンスでは、「Project Kinect for Azure」を発表。Microsoftは、低ノイズと広い視野角を持つKinectのアーキテクチャとMicrosoft AzureのAIサービスを連携させ、「多くのアプリ内で統合することで、コンシューマーや産業用途で使われると考えている」(Nadella氏)と語る。

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    rooboと共同開発したエッジデバイスにAzureのAI機能を組み込むSDKとリファレンスキット。アプローチはQualcommのVision AI開発キットに近い

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    KinectデバイスがMicrosoft Azureと連携することで復活するProject Kinect for Azure。実に感慨深い

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    Project Kinect for Azureの利用例。具体的なシナリオは明かさなかったが、Microsoft AI Perception and Mixed Reality Technical FellowのAlex Kipman氏は「機械学習や認知サービス、IoTエッジを活用する新しい機会を提供する」と述べている

このほかにもMicrosoftは、Bot Frameworkのアップデートや、Intel製FPGAを搭載した「Project Brainware」のプレビュー版を発表し、顧客体験の向上や製造業の最適化が実現可能なシナリオに達していることをアピールした。

Cortana+Alexaの相互連携が限定プレビューへ

日本国内にもスマートスピーカーが次々と上陸しているものの、Microsoftの音声アシスタント、Cortanaを実装したスマートスピーカーをまだ目にすることはない。それでもMicrosoftは「マルチデバイスの本質はCortanaにある」(Nadella氏)と述べ、2017年8月に発表したCortanaとAmazon Alexaの相互連携に関する進捗を発表した。以下に紹介するデモンストレーションを披露し、本日から限定プレビューを開始する。

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    CortanaエンジンはWindows 10に限らず、Microsoft OutlookやMicrosoft Teamsにも組み込まれる

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    2台のAmazon Echoを用意したデモンストレーション。担当したMicrosoft Cortana担当General ManagerのMegan Saunders氏は「インテリジェンスフレンド」と称した

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    AlexaからCortanaを呼び出してから音声でOutlookからメールを送信すると、相手には「Quick message」として届く。その文中にある飲食店の名前をCortanaで検索し、AlexaではUberを手配する

デモンストレーションには、Amazon SVP, Tom Taylor氏も登壇し、Alexa経由でCortanaにアクセス。当時のスケジュールやメール送信、買い物リストの登録を行っていた。また、CortanaからAlexaにアクセスしてUberの手配を行うなど、相互運用性をアピールした。