アストラゼネカと情報通信研究機構(NICT)は4月17日、、自動翻訳システムの共同研究に関する実施契約を締結し、医薬業界に特化した自動翻訳システムの実用性を検証すると発表した。

近年、人工知能(AI)を活用した翻訳サービスの導入が各業界で検討されており、特許分野など一部の専門領域においてはAIによる自動翻訳が実用化されている。

一方、製薬業界において同技術は開発途上であるものの、多くの企業で日本と海外の国とが同時に治験を実施する国際共同治験が主流となってきていることから、迅速かつ適切な翻訳へのニーズが高まっているという。

こうした背景を踏まえ、両者はNICTのニューラルネットワークを用いたAI翻訳エンジン「TexTra」を用いて、医薬分野に特化した精度の高い自動翻訳システムを開発する共同開発に合意。

NICTは総務省とともに「翻訳バンク」の運用を行っており、翻訳データを集積して日本の翻訳技術の多分野化・高精度化に取り組んでおり、NICTにおいて今回の契約は製薬企業との初めての取り組みとなる。

アストラゼネカは、現在60を超える開発プロジェクトを国内で実施しており、うち8割以上が国際共同治験となっている。同社は、NICTに自社の対訳データを提供し、医薬分野に特化した翻訳システムの実用に向けて共同で検証を行うとともに、カスタマイズされた翻訳システムの使用権利を得るとしている。

医薬分野に特化した精度の高い自動翻訳システムが開発されることで、翻訳作業が効率化し、新薬をはじめとした薬事申請を迅速に行うことが可能になるという。