東京海上日動火災保険は11月21日、水災発生時に被害範囲や浸水の高さを数日程度で把握できる体制が整ったことを発表した。

同社はアビームコンサルティングと共に米Orbital Insightと連携し、人工衛星で撮影された複数の画像を人工知能(AI)で解析することにより、大規模な水災が発生した際に保険金の支払い対象となる被害エリアを早期に把握し、迅速な保険金の支払いに繋げるための実証実験を実施し、取り組みを進めてきた。

具体的には、Orbital Insightが提携する複数の企業から入手した可視光画像、SAR画像などの衛生画像を組み合わせつつ、過去に発生した台風や水災被害における保険金の支払い実績(水災被害エリアの中で、どの範囲・エリアまで支払いが行われたかなどのデータ)も加えてAIによる解析を実施することで、水災範囲、浸水高などを推定する。

東京海上日動火災保険は実証実験を実施した後、一部の水災被害への対応において人工衛星画像を利用。画像から特定できる水災の被害エリアと同社の火災保険などを契約している顧客の所在地情報を照らし合わせることで、同社にまだ被害の連絡をしていない顧客に対して保険金請求の案内を行い、保険金を支払った例があるという。

  • 解析に用いる衛星画像の例

人工衛星画像のAI解析により、保険金の支払い対象であることが確認できた損害に対して、立会調査などを行うことなく保険金を支払うことで、通常2~3週間程度を要する水災時の保険金の支払い期間を大幅に短縮することが可能になるとしている。