ピュア・ストレージ・ジャパンは4月5日、都内で記者会見を開き、AI(人工知能)に最適な統合インフラストラクチャ「AIRI(アイリ)」を発表した。

AIの環境構築に適したインフラストラクチャ

AIRIは、ハードウェアがNVIDIAの深層学習向けサーバのDGX-1(Tesla V100×8個搭載)が4台、ピュア・ストレージのFlashBlade(17TBブレード×15個搭載)、RDMA(Remote Direct Memory Access)に対応したAristaの100Gb Ethenetスイッチが2台、ソフトウェアが最適化フレームワークのNVIDIA GPU Cloud ディープラーニングスタック、マルチノード学習を行うAIRI Scaling Toolkitの5つで構成されている。

  • 「AIRI」の概要

    「AIRI」の概要

米Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長のマット・キックスモーラー氏は、新製品について「AIの実装を試みる顧客の間でピュア・ストレージのオールフラッシュストレージ『FlashBlade』と、NVIDIAの『DGX-1』を組み合わせるケースが多く、協業していくという流れができた。顧客の需要から生まれるものが最善であり、そのためAIRIが生まれた」と、製品開発に至った背景を説明した。

  • 米Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長のマット・キックスモーラー氏

    米Pure Storage 製品・ソリューションマーケティング部門 副社長のマット・キックスモーラー氏

  • 「AIRI」のテクノロジースタック

    「AIRI」のテクノロジースタック

また、エヌビディア エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏はDGX-1の利点について、次ように説明した。

  • エヌビディア エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏

    エヌビディア エンタープライズマーケティング部 シニアマーケティングマネージャーの佐々木邦暢氏

「DGX-1を活用するためには計算だけでなく、大量のデータを高速に供給するストレージが重要となる。高速かつ容量の拡張が柔軟なストレージとの組み合わせがAIのアプライアンスとして最適であり、DGX-1のInfiniBandはEthenetと切り替えて利用できる。DGX-1とFlashBladeの接続は、NVIDIAとピュア・ストレージのエンジニアが共同でリファレンスアーキテクチャを策定し、設計されているため、導入時から最適なハードウェアの基盤が構築されている」

さらに、AIの環境構築は労力を伴うほか、複数のフレームワークを混在させると必要なライブラリのバージョンなどが課題となる。そのため、ソフトウェアのNVIDIA GPU Cloud ディープラーニングスタックは、コンテナとして使い、基板側の作業を自動化することを可能としており、作業に集中できるという。

  • NVIDIA GPU Cloud ディープラーニングスタックの概要

    NVIDIA GPU Cloud ディープラーニングスタックの概要

データサイエンティストの生産性向上に期待

今後のIT業界におけるソフトウェア開発について、キックスモーラー氏は「従来のコーディングから新たな開発手法として注目されているソフトウェア2.0に移行することが予測されており、AIの技術はこれに対応する」との認識を示す。

AIを使用したソフトウェア2.0は「スキルセット」がソフトウェア開発者からデータサイエンティスト、「ソフトウェア」は明示的なコードからニューラルネットワーク、「ツール」はコンパイラとIDEからフレームワーク、「プロセッサ」はCPUからGPU、「ネットワーク」はEthenetからInfiniBandとEthernet RDMA、「ストレージ」はディスクからフラッシュ、「アーキテクチャの基盤」はシリアルからパラレルにそれぞれ変化するというものだ。

  • ソフトウェア1.0からソフトウェア2.0への変化点

    ソフトウェア1.0からソフトウェア2.0への変化点

同氏は「従来型のソフトウェアとコンピューティングは、AIが導入されることでソフトウェア2.0に変化し、データサイエンティストが主導していくと考えている。各企業はAIにより可能な限り迅速に判断し、物事を進めたいが、実装する際は自前で環境を構築することが多く、時間がかかる。これらの課題を解決するがAIRIだ」と、強調する。

AIRIはAIに完全対応したインフラストラクチャであり、ストレージハードウェア、ソフトウェアの面も含め、AIのプロジェクトを迅速に進めることができ、インフラがシンプルになるほか、注力したい業務への集中を可能としている。

データサイエンティストは、1台のDGX-1のトレーニングに1カ月を要するが、AIRIは2台、4台と並列処理が可能となり、数日で作業が完了するためデータサイエンティストの生産性向上が期待できるという。

また、データセンターにおいても4台のDGX-1は40ラック分のCPU性能を、1台のFlashBladeは10ラック分のディスク性能をそれぞれ提供できるため、電力とスペースの削減が図れるとしている。

  • 左から佐々木氏、キックスモーラー氏

    左から佐々木氏、キックスモーラー氏