今では珍しくはなくなった、ロボット掃除機のスマホ対応。無線LAN(Wi-Fi)経由でロボット掃除機とスマホを接続し、アプリで連携させて遠隔操作などが可能……といった機能です。ここでは、アイロボットのロボット掃除機「ルンバ」と、スマホアプリ「iRobot HOME」について、筆者が使ってみて便利に感じた点を紹介します。

  • ルンバのスマホアプリ「iRobot HOME」

    あぁ、なんて愛おしい

はじめに、ロボット掃除機とスマホ連携の歩みを振り返ってみましょう。

スマホに初めて対応したロボット掃除機は、2015年10月に発売されたダイソンの「360Eye」です。「Dyson Link」アプリとつなげることで、遠隔操作やスケジュール設定、掃除したエリアのマップの確認といったことができました。

当時の正直な感想なのですが、ロボット掃除機とスマホの連携は、個人的にそれほど魅力には映りませんでした。というのも、遠隔操作は物理的なリモコンを使えばよく、その機能をわざわざスマホで代替する必要性をあまり感じなかったからです。

外出先からWi-Fi経由で運転/停止を指示できるのは確かに便利ですが、スケジュール設定で十分といえば十分。スマホでなければならない機能、実現できない機能というのが、当時はまだ提案されていない気がしたものです。掃除した履歴をマップ表示する機能も、漠然とした地図であったため、素人にはイマイチよくわかりませんでした。

  • ルンバ980

    シリーズで初めてスマホ連携に対応した、最上位モデル「ルンバ980」

その後、ダイソンの360Eyeとほぼ同時期(2015年10月)に発売された、アイロボットの最上位モデル「ルンバ980」も無線LANを搭載し、スマホ連携に対応。少し前までアイロボットのCEOがノリ気でなかった「SLAM(※)」技術を搭載し、ルンバ史上最大ともいえる進化を遂げました。これには筆者を含め、業界関係者たちが驚かされた記憶があります。

SLAM : 「Simultaneous Localization and Mapping」の略。ロボット掃除機に搭載した各種のセンサーを使って、動き回る部屋の中で自分の位置を把握し、部屋内の障害物などを含めた地図を自動的に作る機能。ロボット掃除機に限らず、さまさまな分野で使われる用語です。

ちなみに、ダイソンの360Eyeは、製品発表が2014年9月。その時点で、新製品にSLAMを搭載し、無線LAN経由でスマホアプリと連携することが明らかになっていたのです。どうやらここが、ロボット掃除機のトレンドが変わったポイント。ロボット掃除機の元祖と自負するアイロボットとしても、進化の方向性を見なおすことになったのでしょう。